I. インフルエンザが流行しています
全国的にA型インフルエンザが多く、当院での調査でもほとんどがA型ですが、1例だけB型でした。インフルエンザワクチンを接種した方でも感染していますから、油断大敵です。38℃以上の高熱、悪寒、全身倦怠、関節痛、頭痛、咳などが主な症状です。体温が37℃台でもふつうの風邪よりもだるさがひどい場合は、インフルエンザのことがあります。当院でも数人確認しています。
検査:
インフルエンザ検査にかかる時間は15分です。細い綿棒を鼻からやさしく入れて検査します。費用は3割負担で、900円程です。
治療:
速やかな抗ウイルス薬治療が、症状を早く改善させ、感染を拡げないために有効です。
以下のいずれかを選択します。
•イナビル吸入。1回の吸入で済みます
•タミフルの内服。1日2回、5日間。
•リレンザの吸入。1日2回、5日間。
•ラピアクトの点滴。1回で済みますが、点滴が必要です。
受験生の皆さん、インフルエンザの予防にタミフル、リレンザが有効です
インフルエンザワクチンを接種しても、インフルエンザに感染する事があります。手洗い、うがい、マスクに加えて、インフルエンザ治療薬の、タミフル(1日1回内服)、リレンザ(1日1回吸入)を10日間すると、その間はインフルエンザにかかりにくいことがわかっています。健康保険が効かないため、自費診療となり、いずれも5250円(消費税込み)です。
II. 風疹
若い世代での風疹が流行しています。 風疹ワクチンが任意接種になったため、十分量の抗体(感染を予防してくれる物質)を持っていないためです。 妊婦が風疹にかかると、生まれてくるこどもに先天的な異常を起こす事があります。詳しくは、国立感染症研究所のホームページを参照ください。
風疹の抗体検査、ワクチン接種ができます(自費診療)
抗体検査(血液検査)で3,150円(消費税込)です。
風疹ワクチン接種 5,250円(消費税込)です。
ワクチンの主な副作用は、注射部位の発赤、腫れ、痛み(ほとんどの場合、数日で改善します)などです。
なお、女性はワクチン接種後2ヶ月は妊娠を避けることが勧められています。
III. 肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)
肺炎は日本人の死因の第3位です。肺炎の原因となる細菌のうち一番多く(25%)、しかも重症化しやすいのが、肺炎球菌です。予防には肺炎球菌ワクチンが有効です。1度接種すると、5年間は有効とされています。
台東区では、65歳以上の接種希望者に4000円の助成をしています。助成を受けるには、保健所へ申し込みが必要です。当院に申し込みはがきを準備してあります。
当院では4,400円(税込)の窓口負担です(医療機関により窓口負担額が異なります)。
なお、子供の肺炎球菌ワクチンである「プレベナー13」とは中身が違います。
IV. 帯状疱疹(たいじょうほうしん)
帯状疱疹を起こすのは、 みずぼうそうウイルスです。みずぼうそうにかかった後、このウイルスは神経の中に潜んでいます。何らかの原因(免疫低下、疲労など)で、ウイルスが増えると帯状疱疹を起こします。
症状:
まず、神経の広がりに沿って痛みが出ます。この時は発疹はまだ出ていません。狭心症、胃炎、坐骨神経痛と間違うこともあります。
痛みが出てから、数日後に、赤い発疹、水ぶくれ(水疱)が出て来ます。体のどこにでも出ますが、胸、背中、腹部に出る事が多く、通常体の半分だけです。鼻の先端に発疹が出ると、目の角膜が障害(失明の危険)があります。数週間でかさぶた→色素沈着を経て発疹は治ります。傷がひどいと、痕が残ることがあります。
発疹が治った後も、神経痛(帯状疱疹後神経痛)が残ることがあります。
治療:
抗ウイルス薬のバルトレックス、ファムビルの速やかな内服が重要です。
予防:
帯状疱疹用ワクチンが有効ですが、日本では未だ承認されていません。小児用のみずぼうそうワクチンで代用できます(別の機会にご案内します)。65歳以上の方は、一度相談ください。なお、帯状疱疹は2回以上かかることもあります。